20240408

日記343

Be gentle

2024/04/07 昨日
スタバから歩いて帰宅。せいろ野菜と鶏肉の晩ごはん。鶏肉がぷりぷりで美味しかったし、大根の輪切りはいくらでも食べられそうだった。すずめの戸締まりを見る。ファンタジー色のつよいフィクション作品にするにはモチーフに現実感がありすぎるというところにほとんどすべての非難すべきポイントがある。他にも演出や人物造形に不満がないわけではないが、そんなことはいかにも些事に思われる。現実の出来事を作品で扱うのであれば必要となるはずの配慮が足りていない。いや、注意深く配慮はされているが、そもそも地震災害の原因を特別な力とそれを食い止めるための特別な役職者の力不足に帰するのは、現実の被害者に対する横暴ではないか。見終わったあともしばらく気分がわるかったし、今も腹立たしく感じているが、自然による人間の手に負えない出来事に対するものの見方が神話を形成するということはこれまでも見られてきたことで、そういうことをやりたかったのかもしれないとは思った。しかし結果的に時期尚早かつ力量不足で、制作中止にしないまでも延期するべきだった。製作側のお金の問題に巻き込まれてそれができなかったのだと想像するが、そうだとしてもまったく言い訳にならない。昔ながらの比喩表現を借りると、「悪魔と契約して駄作を作り出した」ということになる。罪はふたつある。大きいのと小さいのでふたつだが、分割されているだけに罪深くならないというのが本当に良くないところだ。
力量不足と言ったところは、登場人物への感情移入がなされそうなところですぐ次のシーンに移ってしまう駆け足の編集のことを指している。しかし、安易な感情移入を避けてあえてそういう演出にしているということも考えられはするので、その場合、単純にまずいということはいえない。また、登場人物が桃太郎の犬猿雉ばりに従順かつ協力的なのも気になるところだ。それぞれの持っている能力や差し出せるものも主人公が前進するのにちょうどいいし、放っておくこととかまってあげることのバランス感覚が何度も同じような人助けを繰り返してきたかのように過不足なく、手の差し伸べ方もやけに手慣れている。そういう人たちしかでてこない。変なやつや冷たい無関心もあったなかで、前に進むことのできる他人とのひとときだけを切り取ったのだということも言えるが、そういうやりとりも(ひょっとするとそういうやりとりこそ)重要ではないのか。そんなふうに省略してしまいつつ、犠牲が見込まれる「100万人」としてだけ他人を取り扱うというのは、物語至上主義ならぬ主人公至上主義といわれても仕方ないことだ。ただ、そういうことを堂々とやってしまえるのがこの監督の持ち味だと思うので、持ち味を発揮できているとも考えられる。しかしその場合、現実に起きた出来事との相性は相当悪い。何らかの手立てを講じたうえで接続することが必要不可欠だった。それにもかかわらず、普段と同様のやり方でほとんど無造作に取り扱っていることで、落ち着いて映画を見るために必要なだけの集中を湧き上がる反感によって阻害されてしまった。
二十三時過ぎにねむろうとするも、たらたらして二十四時近くの入眠になる。

2024/04/08 今日
金曜時点でこの新しい職場では月曜がそこまで嫌とは感じないかもしれないと思っていたが、習慣の力はつよいもので、何のことはない、憂鬱な月曜の朝だった。
夢で高校時代の友人たちとキャンプに行った。馬鹿な甲冑遊びに興じて対決しているうちのひとりが事故でほとんど指を落としそうな大怪我を負った。ぷらぷらと手のひらから離れかけた中指だか薬指を氷で冷やして病院に行くことにしたのだが、何をぐずぐずするのかいつまでも車が出ない。友人の痛そうな表情を見るのも忍びないし、目線を下げていたらちょうど視線が患部のあたりをさまようことになり、ろくに冷やせていないぷらぷらと手のひらから離れたがっている指ばかりが目に入り、一体何をぐずぐずしているのか、と気が気でないし、だんだん腹が立ってきたところで目が覚めた。
出退勤時には雨にはならない予報だったのでスニーカーで出勤。ぎりぎりのところで体制変更を思いついたらしく、先週の話とはちがうチームに所属することになった。どちらが良いのか判断できないし、何より自分で行き先を決められるわけではないので、これで良かったんだと強いて思うことにする。いずれにせよ、小規模ながらわかりやすく未来が分岐したことになる。
定時退社。雨も降っていないし富士そばに寄ってカツ丼を食べてから図書館にきて本を読む。日記を書く。移動中にはヴァンパイア・ウィークエンドの新譜とサンデーナイトドリーマーを聞いている。到着してからはいつもの通り辻井伸行のショパン。一曲だけケンドリック・ラマーとメトロ・ブーミンのLike thatを聞いた。「そういうのがしたかったの?」というのは強烈な一撃になる。そいつら越しに脳が揺れるのを感じた。

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