高い生活
2023/11/30 一昨日
在宅バイト。頑張って定時に終わらせられるように計算しかつしゃかりきにやる。天空橋まで音楽ライブを見に行く。「of BLUE」というかっこいいタイトルのライブで、カネコアヤノと坂本慎太郎のツーマンだったので期待していたが、一階のオールスタンディングの環境がライブハウス慣れしていない自分には過酷で、後ろの人の視野を奪っている意識もあるから直立することもできず終始変な姿勢で満員電車の中に突っ立っている感じになり、音楽を聞くとしてはかなり劣悪な環境だった。主催の団体があきらかに客を入れすぎていると思う。特別な体験という感じがなかっただけではなく、あらかじめ楽しみにしていたほどではなかった。チケットの値段に見合うほど楽しいライブでもなく、総じて残念だった。下北沢までの帰り道も長く、帰り着いたときには腹ペコだったので、餃子居酒屋ダンダダンに入って餃子を食べようとするも、スタッフの数が七人ぐらいいるのに注文した餃子が出てくるのにたっぷり二十五分かかった。バイトの人たちは楽しそうに働いているのでわるい店ではないと思うが、客からしたら最低ランクの店といって間違いなく、下北沢で二度と行かない店がひとつ増えた。
自分にもお金を払って時間を使えばそれなりの体験ができるという考えがどこかにあって、その期待が裏切られたときには必要以上に攻撃的になってしまうところがある。こういうカスタマー精神に肩までどっぷり浸かったままでいると、自分では何もやらないくせに匙を口に運んでもらっていながら順番が違うと喚き散らす豚に近づいていってしまうので、満足感は自分が行動したときに得られるものであって、お金を払えばもらえるものではないという認識を取り戻すようにしなければならない。
まあ全然そんな話ではなく、お金を払うときには前もって調べられるものは調べる、衝動的に適当な選択をしないでおくというだけの話かもしれない。かもしれないというか実際そうだ。
2023/12/01 昨日
在宅バイト。頑張って定時に終わらせられるように計算しかつしゃかりきにやる。吉祥寺まで演劇を見に行く。「ハイ・ライフ」というタイトルのロンドンの場末が舞台の演劇で、東出昌大めあてに東京公演の初日を見に行く。物を手に取ったり、とったものを置いたりする所作に所作性を感じて最初こそ落ち着かなかったものの、段々場の空気が馴染んできて最終的には作品があらわす場末感というか、ゆるやかな終末っぽいいい雰囲気になったのでたぶん演劇としてもまずまずよかったんだと思う。しかし作品の出来どうこうというより、自分だったらどんな感じに演るだろうと舞台上の男と自分とを重ねながら見るという見方をして、その見方がうまく行き過ぎて不思議な気持ちになる瞬間があってそれが面白かった。顔を知っているだけのひとりの人間が目の前にひとりの人間としていて、すごく近い距離に感じながらも同時に彼我のあいだにある遠い距離のことも考えたりして、混乱し分裂しそうになるのを今という時間で無理やりにまとめ上げてじっとそこに座っているというのを楽しめたんだと思う。東出の顔と身体の造形はやはり並外れていてそこを見ているだけでも十分な満足が得られるものと思うが、ライトが当たってかっこよく映える格好でそこにいる彼よりも、長い手足を手持ち無沙汰気味に持て余しながらあちこちうろつきまわる彼を見るのが面白く、声と笑い声が特徴的なのに加えて、舞台にいる彼の魅力を感じさせた。演技の上手い下手とか、運動神経の良さとか体力の有無というのも大事なところなのだろうが、そういうところより以前に人の魅力はあるんだというのが実感できた。
演劇を見終えてその足で闇太郎にいく。吉祥寺に住んでいたときにはコロナが全盛だったこともあり全然行けていなかったのだが、もしまだ吉祥寺に住んでいたら通いたくなる良い店だ。店主のちゃきちゃきの江戸っ子気質とグラスで飲む瓶ビールとおでんが良い味で、最近ではあまり見ないほどかなり満足いく良いお酒だった。常連になってつまらないおでん批評などして憎まれ口を叩かれるようになりたい。
2023/12/02 今日
前日に夜更かしをしたこともありちゃんと休日らしい時間まで寝た。支度をして昼飯を食いに出かける。下北沢で開催の「ニテ」というサーキットフェスを見に来ている友人と合流。キッチン水谷で豚キムチカレーを食べる。本格っぽいスパイスカレーなのに豚キムチカレーというチャレンジもしていて志の高さ(低さ? 少なくとも絶対値の高さ)を感じさせる。腹ごなしに少し街を歩き回った後、スタバに入って『数の値打ち』を読む。そのあと日記を書く。