夢で見た三角形
書きたいことがたくさんある感じがある。溜まっている分を全然出せなかったらどうしようと思う。溜まっていると言っても三日分だが、日記はすっ飛ばして書こうと思えばいくらでもすっ飛ばせるから、本当は書きたいと思っていたこと、いろいろ経巡りながらこれは日記に書こうと思ってたことのほとんどを抜かしてしまうのではないかという心配がある。たとえばKITTEの吹き抜けが三角形になっていてその見た目の特別感が面白いと昨日(2023/11/19)KITTEに行って思ったのだが、それがなんとなく今になっても残っているのとちがい、そのときには面白いと思っていながら忘れてしまった側の出来事や感想もあるはずだ。できるだけそれらを拾うようにしながら週末分の日記を書いていきたい。
2023/11/18 一昨日
演劇祭の忘年会があるということで朝からなんとなくそわそわしてしまう。本当はもっと本を読んだりして過ごしたかったのだが思ったより全然読めなかった。せっかくの休日ではあるので、昼飯にうまいカレーを食べに出る。三蔵TOKYOのペトラカレー。黒くてうまい。彼女が頼んだタリンカレー。こちらは赤くてうまい。全然違うカレーだがどちらもカレーとしか言いようがなく、赤と黒のこのコントラストはもし絶好のタイミングがあれば味わってみてほしい。
ただこれは日記に書くべきことではないと俺の一部は主張しているのだが、カレー専用容器に入っているカレーを皿の上の白飯に注ぎ入れるとき(このカレーショップでは一口目のスプーンを口に入れるときと並んでもっとも特別な良い時間だ)、魔に憑かれたように一気にすべてのカレーを注ぎ込みたいと思ってなのか、白い皿から黒いカレーソースが溢れ溢れるという事態を招いてしまった。最近、とくに食事に関連する行動をとるときに頭の注意力を司る部分が麻痺してまったく考えなしのようなことをしてしまうことに気がついた。何かで頭がいっぱいですぐキャパオーバーになってしまう人がするような、傍目からは信じられないようなミスをしてしまうわけだが、俺にはわかるさらに恐ろしいことには、毎日よく寝て悩みらしい悩みもないのにもかかわらずそうなってしまうのだった。この行動とそれが招いた皿から溢れ溢れる黒いカレーの映像はそれだけの衝撃を自分と、となりにいて一部始終を見ていた彼女に与えた。彼女が「めっちゃイライラする」という取っ手も何もない述懐(?)(少なくとも目の前の自分には向けられていなかった。それだけに迫力があった)を冷然と言い放ったのにも面食らった。二重の衝撃を立て続けに受けたせいで、おもに前半、カレーの味がほとんどしなかった。赤いタリンカレーを一口もらって「トマト」のイメージが一旦すべてを塗りつぶすまでは。
ふた駅近く歩いて目当てのカレーを食べにいき、腹ごなしの散歩がてら街の反対方面にある雑貨屋まで行ってアンティークを見た。一四時にでかけて一六時に帰ってきた。これ以上に下北沢の住人らしい休日の過ごし方はない。帰宅後彼女が友人から教えてもらったというSWITCHのゲームをやり始める。予定の忘年会会場にオンタイムで出かける。
飲み会は久しぶりだがやはり楽しい。もっと頑張れるやろと大学来の友人たちから言われるたびにうるせえお前が言うなだとか、俺は俺で盛り上げに貢献してんのじゃとか軽口を返すのだが、やっぱりいざとなるとそういう威勢は最高に楽しい盛り上がりの夢とともにしぼんでいってしまう。ただ会が開けたあと、道を歩きながらおごってもらったビールを飲む時間があって、それがとてもよかった。いつまでも歩けると思った。だけどさすがに迷惑かもなと思った時点で終わりになった。残念だ。話が盛り上がるとか会がうまく回るとかそれ以前の問題で、どうしても酔っ払いそのものになれず、酔っぱらいのイデアに近づけないことが俺の一番の問題なんだと思う。しかし茶沢通り横の変な帰り道、帰るまでのすべての瞬間が楽しかった。冬前の夜の空気。首の冷え対策としてちゃんとマフラーを持っていった功績は大きい。
2023/11/19 昨日
途中一回レッドアイを挟みながら結構な杯数のビールを飲んだのにもかかわらずほぼ二日酔いにならなかった。ただねむる時間が遅くなったことでどうしても睡眠不足だけは避けられなかった。元気よくリビングから話しかけてくるBに起こされて朝の時間ができたのを幸いとして出かけることにする。起きたときにポケモンスリープやってなかった…!とショックを受けたがよくよく確認してみるとちゃんと起動させた状態で寝ていた。すでに入眠ルーティンとして完成していて無意識の域に達しているようだ。
空気が澄んでいて富士見橋から富士山がくっきり見えた。世田谷代田経由で歩いてBole and coffeeに行く。新代田からすこし入った羽根木エリアにこんなにもおしゃれな通りがあるなんてという驚きがあった。タイムマスカルポーネとスパイスかぼちゃのアイスクリームを食べてコーヒーを飲む。ふた口分けてもらった焼き立てスコーンもとても美味しかった。おしゃれな外席で良い朝食時間(一二時)になった。新代田環七にあるLUUPに飛び乗って目的地の溜池山王まで移動する。LUUPを運転するのに一番いい道は他にあったかもしれないが、とにもかくにも地図を見ずに移動できたのは東京七年目の面目が立つというもの。
はしごでパイコウ担々麺とシュウマイを食べる。味が美味しいのもあるが、店の仕組みがちゃんとしていて最大の回転数を誇っているのが客側からもわかって、これはすごい店だと思いテンションが上がった。
日比谷の映画館まで歩く。途中でデモの集まりが日比谷公園からデモ行進を開始するところにでくわす。野次馬の中でも馬としての純度がもっとも高い「通りすがり」として、通り過ぎるほんのすこしのあいだだけ同じ場所の空気を吸った。大量の警察官が投入されていたが、去年だったらほぼ全員マスク姿だったろうが今年はたぶん全員マスクをしておらず、なんだか新鮮な見た目だなと思った。
ゴジラマイナスワンは主要な舞台のひとつが銀座ということもあり、日比谷TOHOで見るのにうってつけだと思った以外にはとくにおもしろいところもなく、気持ちが乗らないだけに退屈な映画体験だった。自分はIMAXレーザーの信奉者だがIMAXレーザーにもおのずから限界があるということを思い知った。天気の子は新宿バルト9で見てこの場所で見るのにうってつけだと思ったし、そのときも今回もとくに狙ったわけじゃないから偶然の符合に気をよくできるところがあった。ゴジラの感想というか愚痴を、日比谷と東京をつなぐおしゃれな石畳のベンチに座って缶チューハイ、缶ビールを飲みながら喋れたのがハイライトになった。一瞬だけビルの合間からのぞいた半欠けの月も。
ツリーの点灯式らしき集まりに吸い寄せられるまま建物内に入り、建物内を横切って次の目的地のKITTEにいく。LUUPを早い徒歩だと考えると、下北沢から東京駅まで一日がかりで歩いたことになる。帰りの電車ですごく疲れていて、最近の体力のなさに危機感を覚えていたのだが、移動距離を考えると疲れるのもある程度は仕方ないように思える。
東京駅でおあつらえ向きのご飯屋を見つけられず、結局下北沢まで戻って松屋で遅めの晩飯を食べて帰る。翌日の仕事が憂鬱でたまらず帰り道にもかなり消耗させられたが、もっと刹那的に振る舞って、翌日の仕事などないかのように元気よく機嫌よくしていないと、せっかくの夜がもったいないと思うべきだ。月曜を乗り越えた今になって思う。もっとはやくねむればいいのに、ベッドに入ってからだらだらしてゼロ時を迎えてしまい、翌朝の寝不足状態が確定する。
2023/11/20 今日
出社日。七時起きで八時前には出発。大変な一日が始まるというのではないし、彼女は自分より遅く寝ているのに早く出かけているからそれとの比較でも全然大したことはないのだが、とにかく月曜の朝を迎えるのが憂鬱だ。出勤途中の道できれいな朝日、散歩する犬、元気いっぱいの小学生などを見ているうちに自然と元気が出てくる。会社についてからはやるべきことがあるのでひたすらそれを消化しているうちに定時になる。今日やるべきことが終わらなかったので明日へ持ち越しすることに決めて帰る。
帰りの電車が遅延のため満員電車になる。一五分も無いぐらいの時間だが、通路にいても隣の乗客と肩が触れ合うぐらいのぎゅうぎゅうの満員電車は嫌なものだ。
エキウエのスタバが満員だったので、吉野家でハヤシライスを食べたあとでクラシックのほうにくる。日記を書いているうちにあっという間に二十時すぎになってしまった。結局書いているうちにどんどん書き進めるモードになって、そのモードのときに取りこぼすあれやこれやをそのままに日記を書き終わってしまった。言ってみてもしょうがないので読書をすることにする。本を読んでいると何かが思い浮かんだり思い出したりすることは普通によくあることだし。