そこほれ下北
2023/11/12 昨日
スタバで映画の感想を書く。終わってから古着屋にちょっと顔を出して四段ハンバーグの店「カブト」に行く。肉と飯だけで一〇〇〇円のメニューと瓶ビール。野菜のやの字もなく肉に全振りしているのが若者向けの店という感じ。池ノ上に住んでいたときにあったら近いのもあってめっちゃ通ってたと思う。
酒を飲みながらほっつき歩く。寒さは正直つらいのだが何のこれしきと頑張る。
そうは言っても外に長くいられる気候ではないので、帰ってPLUTOの最終話を見る。ゲジヒトもアトムも踏みとどまるところに一番人間性があるんだと思った。ロボットだろうが動物だろうが人間だろうが、踏みとどまるところに人間性の発露がある。アトムの作り出した美しい曲線は漫画ならではの表現だった。やっぱり原作を越えるのはむずかしいのだろう。だいぶ善戦していたとは思うし、ノース二号の回はすごく良かったと思うが。
夜は翌日の仕事のことなどがあってすごく憂鬱になる。気温が寒いという条件にどんどん弱くなっているのを感じる。首が寒いとすぐに正味一五分ほどで風邪がこっちを覗き込んでくる。
創作メルティングポットというサークルの『#お金がほしい』という本が面白かった。もともとよく読んでいたブログを書いていた人が編集した本で、まっすぐお金のことを題材にできるところにかえって徳の高さを感じる。どの人の文章も自分と同意見かそうではないかというのを越えてめちゃくちゃ読みやすい。読みやすい文章はよく水に喩えられる。水道水のようなカルキ臭さとは無縁でいながらはっきり衛生的だという安心感がある。文章の読みやすさについて本気出して考えるどころか、いわゆるリーダビリティには背を向けていきたいところが自分にはある。そういう拗ねたような姿勢でいると他人の文章の「読みやすさ」には頓着しない一方で、読みやすくしてPVを増やそうという意図が見えるとそれだけでイライラが募って読みたくなくなるのだが、そういうことを思わせない文章だった。要するに自分のセンサーに引っかからないだけ意識を割いて文章を綴っているということだろう。文章がうまくなりたいと一回でも思ったことのある人は、自分と比べてかなり高いレベルでそれが実行に移されているのを見るとテンションが下がるものだと思うが、そうならないように正直ちょっと努力した。
俺はもう文章がうまくなりたいとか思っている場合じゃない。とにかく量を書いて書き慣れていくことは必要だが、上手な文章という価値観は捨てた。伝えたいことが伝わるだけの文章力があればそれで充分だ。伝えたいことが伝わるだけの文章力……。
こういう言い方をすると言い訳臭くなるかなあと思って言うのを控えるという考え方があるが、言い訳を言いたい気持ちはたしかにあるんだし、言うのを控えるよりは言ってしまったほうがかさが増えるのは間違いないから、とにかく書いてしまったらいい。消したり修正するのはあとからでもできるんだし。
できるだけ自分の実感から離れないように書く。本当それだけでいい。まとまった量を書く人は書くことで実感を追い越していくんだろうけど自分にはその心配はまだ全然ない。
2023/11/13 今日
在宅バイト。仕事に追いかけられるうちに一日が終わる。ザ行たっぷり一時間半……。外に出るためにシャワーを浴びているときにちょっと元気が出たのだけど、外気の寒さにフィジカルに言葉どおりに萎縮してしまう。
スタバにやってきてMacを開く段になってようやくすこしずつ回復していくのを感じる。「俺は冬のピリッとする感じが好き」と今年もまだ言っていたいのだが、油断していると内心のともなわない棒読み台詞になってしまう。しっかり防寒のうえ、冬が好きと言っていく。具体的にはまだマフラーには早いとか気にせず首を守るためにマフラーをつけていく。さてこれから本を読むか、小説を書くか、ぼーっとするか。少なくとも三択ある。それにしても仕事が嫌だ。暇が潰されているといういつもの嫌さに加えて、人に依頼したり催促したり質問に答えたるということを一切やりたくないという積極的な嫌さがこの二週ほど続いている。
東京に来た頃は東京にいることが当たり前ではなくて、家賃を払うために働くという意志力があった。今も家賃を払うために働くのは同じなのだけど、東京にいることがいつの間にか当たり前になって意志力が低下していった。東京にいるのが当たり前じゃなかった頃は緊張感があったし、しっかりしがみついているとかえってしがみついている感はなかったのだけど、今は余裕でしがみついている分、しがみついている感が多く出てしまっている。今の仕事とは全然違う接客のバイトとか、肉体労働系のバイトとかをしたほうが良いのかもしれないと思ったりする。お金のためというよりは自分という人間のために。必死になってやるということをやらずに、しかも毎日きっちり追い立てられるのは意味がわからない。バイトよりは多くお金がもらえるのと在宅勤務が多いのはメリットだけど。デメリットが自分でも知らないうちに奥の方で進行しているような気がする。こういうのはいかにも中年の考えそうなことだが俺は中年だ。今の仕事にもっと前向きに取り組めるようにするには何が必要なのか、ちょっと考えてみてもいいのかもしれない。良いアイデアはたぶんあるだろうし、思いつくのも不可能じゃないだろう。