20230701

日記144

レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』

2023/06/30 昨日
バイトの出勤日。むし暑くて仕方なく、途中の渋谷駅で電車を待つ時間がわりと苦痛だった。先輩の一人が現場変更ということで最終出社日だった。元ヤンキーっぽい雰囲気をたたえたハキハキ喋る人で、リモート会議中でもよく笑い、ともすれば活気を失いがちになるITの現場を盛り上げていた。前のめりで仕事に取り組む姿勢は真似しようと思ってもできることではないが、労働に向かっては怠惰を全面に押し出したいスタンスの私をして、参考にしたいとまで思わしめたので大したものだ。ただし絶対に上司にはしたくない。怖すぎる。後輩としての自分には適度な距離感で優しかったので面(めん)が良かった。運が良かった。
お腹すいたし雨がタルかったのでそのまま帰宅。インスタントラーメン(ラ王・坦々)とスプリングバレーで晩飯。とくにスプリングバレーの一口目が飛ぶほど美味かった。一週間の労働を洗い流してくれる味がするというのは一週間の労働の数少ない功(いさおし)だ。
気晴らしというか露払いというか、マイナスをゼロにするだけのことだからそればかりになっていてはいけないことだと思うが、単純な上下動で考えたときの上昇幅はそれなりにある。
図書館で借りてきた『哲学者、競馬へ行く』をちょっと読んでそのままうたた寝をする。パーソナルチェアでの読書はこれまでほとんどやってこなかったが独特の感触があって良い。もちろんパーソナルチェアでのうたた寝も。
TVerでアメトーク「学生時代の友人コンビ芸人」がやっているとの情報が流れてきてメンツの良さについ見てしまう。囲碁将棋、ダイアン、U字工事がとくに印象に残った。ダイアンはもはや安定で、津田の立ち回りがこなれてきてもう面白くなくなってるのが逆に面白い。囲碁将棋は文脈依存ではないヒットをつねに狙っていて気味が良い。続いていかないし、続けてもらえないので打点にならないところに勝敗とは関係ない美学があるような気がする。あのやり方で打点を上げるにはホームランを打つしかないのだけどイチローみたいな職人気質で打率を上げようとしているから、そもそもバラエティに向いていないのかもしれないが、この調子でシングルヒットを量産していってほしい。やっぱりそれが格好いいと思う。U字工事は最近良く見るようになってきているからか、あれ?こんなに面白かったっけ?と思うことが増えてきている。最近よく見るというのは力(か勢い、またはその両方)があるからなので、どんどんやっていってほしい。単純に上り調子の人物を見るのは気分が良い。年齢が彼らの芸に合ってきたということなんだと思う。年齢に応じた華を感じる。あとはAマッソの代わりに三四郎が出ていたらもうひと回り面白くなったろうなと思ったが、それだとウエストランドとの兼ね合いでバランスが難しいのと津田が活き活きしなくなるから結局ちょうどのバランスだったということか。

2023/07/01 今日
新生児を連れて映画館に行ってはちゃめちゃなことになる夢と、弱っている子猫がどんどん弱っていって、どんどん小さくクレーアニメのような質感になっていって、最終的にセミぐらいの大きさになって蟻に連れて行かれそうになる夢を見る。映画館の夢のほうは、なぜか面白くないと思っている映画の上映回に行っており、あまり人の迷惑ということを考えないでもよかったので、はちゃめちゃになるがままに任せた。あと自分が映画館のなかで動き回っていて気づいたことだが、意外と観客はじっと座って映画を見ていないし、なんだったら前の方の席では集団でピクニックのようなことをしていた。バトミントンしているまではさすがに行かなかったが、それぐらいの雰囲気だった。猫の夢のほうは、衰弱している猫を助けようとして、コンビニに猫餌を買いに行くのだがなぜか売り切れで、窮余の策として紙パックの牛乳を買って飲ませることにしたのが、牛乳を注ぐ皿がなくてまた歩き回る羽目になった。途中で野良の獣医師が見つかってちょっと見てもらったところ、この衰弱は空腹とかそういうことじゃない、そんなことをしてももう無駄だというようなことを言われる。いろいろやってきた挙げ句その言葉を聞いてさすがに絶望したのだが、よく考えたらこいつの言っていることってべつに正しいわけじゃないよな、というか風貌からしても相当怪しいよな、と思い直したところぐらいでたぶん目が覚めた。
一年越しに読み返してみてまったくおぼえていない夢だと最初は思ったが、内容について詳しく書かれてあるところを読むと思い出した。過去は折り畳まれて格納されているということが、この思い出し方によって明らかになって面白く感じた。
起きたら9時を回っていて、久しぶりにぐっすり8時間45分オーバーの睡眠時間を獲得。予定よりも遅れてスタバに行く。雨が面倒だったが来てしまえばこちらのもの。日記を書く。
その後仕事を進めてお使いをこなして昼飯を買って帰って食べる。その後昼寝などダラダラして過ごし、夕方から歯医者に行く。とうとうこの日で治療が終わった。苦役が終わった解放感とともにもう二度と行く羽目にならないぞと決意する。この清々しい気分と決意にはもちろん既視感がある。この日二度目のスタバ(別店舗)にいって仕事を進めることにする。
最近はバイトにフルタイムコミットしているせいで、感覚がビジネスっぽくなってきていて堕落だなと思う。何もすることがないという焦燥を抱えていないで小説などという余技をこなせるのかという自分に対する疑念がある。もっと何もやることがなく身体を引きずって自由を謳歌できるような状態でいないと。もっとも、結局去年一年の無職期間で何一つ書き上がらなかったのでそれも絵に描いた餅なのだが、それは一年に満たない無職期間が小説を書き始めるには短すぎるという話かもしれない。まあ安定した気持ちで一日にある程度の時間を継続的に捻出できる今の環境より良い環境というのは頭の中にしか無いユートピアのようなものなのだから、こうやってグチグチ言っていないで少しでも前に進めろというだけの話だ。
ビジネスモードになると内部に進捗という物差しが発生するようになり、その目盛りを前に進めることで進捗を得られるようになる。後退と前進がわかりやすいと動きやすくなり、モヤモヤすることがなくなるのであっけらかんと生活できるようになる。小説が書けないときに感じる焦燥と対極にある。やっぱり人は仕事をしているのがラクだから仕事をしているんだろう。

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