20230222

日記58

昨日
シアター711で場当たり。楽屋の鏡の上に自分の名前の札が貼ってあるのをみて高揚する。
演出の指示はそれが正しいのかは措いてもテキパキしていてしかも相変わらず丁寧なのを感じさせる。正しいかどうかは自分の立ち位置からは判断できないが、丁寧さがあるから信じてもいいと思わせられる。
演劇では自分の課題に向かって一直線では進ませてくれない。何かを解消しようという動きは、そのことだけに捕らわれたものになりがちで、そうすると前の状態のほうがよかったというフィードバックがある。拙いながらも感じさせるものがあるというのが失われた状態を決して良いとは思わないというのは客観的にみたら正しい。立ち位置を変えれば自分もそう思うだろう。しかし課題をそのままにしておけないのは明らかで、それをどうにかしないといけない。
声質から声が届きにくいため、セリフが聞き取れないというのを解消したい。そのためにはまずは大きい声を出すということなのだが、それ自体が自分には負荷がかかる。そうすると意識することの大半が「大きい声で」に持っていかれて他のことを考える余白がない。大きい声を出すためには(小さい声にならないためには)条件がある。それは不安感を払拭することだ。不安に思ったまま、それを隠して大きい声を出すという振る舞いをすることが私にはできない。共演者にはそういう状況を乗り越えてきたと思しい人が多く、しかも自前のものか訓練の結果か皆よく通る声をしている。
舞台の上で何かを言おうとも声が届かないのではないかという不安はますます声を小さくさせるから、そこにはまり込まないようにとにかく集中して大声を張り上げようとする。演じるどころの話ではない。
自分の声の通り方に不安感を持っているのは考えてみればずっと続いている。しかもそれに向き合おうとはしてこなかった。コミュニケーションというもうすこし抽象的なことに関心をもって、それに取り組もうとしてきた経緯はあるが、その原因については声以外にも当然いろいろあるので、声というのが外形的な要素に思われていたこともあって、なおざりなままになってきた。
聞く人に聞こえるようにということを思いすぎているのかもしれない。わかるように聞かせてあげないと、というサービス精神のようなものが、私が私の声を出すことを邪魔しているかもしれない。
伝えるということは一旦置いておいて、自分のなかでやってみるという気持ちを前面に出して、人前で「自分の声を出す」ということに集中する。現段階ではフィードバックは正直言って想像の範疇だ(想像の外のフィードバックがもらえるような段階まで進んでいないから当然だ)。だったらフィードバックのことは無視して、自分のやりたいことを優先させてやる。
その場面にいる人になりきってやる。無理に声を張り上げようとしない、声を出したいと思わないのであれば一言も発さないでも問題ない。声を出すときにはただ声を出す。演じるということをやりたいと思って参加した。演じた結果、自分というもの以外のところに可能性を感じてみたい。
同じシーンを演じる共演者のひとりから、どう考えて動いている?と質問をかけられた。それに回答できないということは、その場にいる人になっているのではなく、決まった動きをなぞっているにすぎないということだ。回答できたとしても粒度の低いことしか回答できないのであれば、そのぶんだけ解像度低くあらわれる。考えていたからといってそのとおりに動けるかどうかというのはまた別の話だが、動ける動けない・再現できるできないのまえに、場面に集中して頭を動かさないといけない。まずはそこからだし、今回に関してはそこだけといってもいい。せっかく打てば響く良質の鐘があるのに、思い切って打たないと損だ。

今日
朝、2日間のファスティングを解除してハムチーズトーストを食べる。午前中はかなりゆっくり過ごす。このあと15時からゲネプロがある。その場にいられるかどうか。今はあまり緊張していない。
結局ゲネが始まる直前からかなり緊張した。喉がカラカラに乾き、最初は手が震え足まで震えてきた。その後のことはあまり覚えていないが、カチコチの動きだったろうと思う。
帰りながら反省したけど、なんで緊張するのかわからない。人前が苦手なのはあるがそれ以上の緊張要素はないはずなのに、たんに人前が苦手以上の緊張があるのはたしかなのでそこを払拭できるようにしたいが、人の目とそれに仮託された自分自身による自分自身への期待が過大なことにあるんじゃないかと思われる。が、その場合は緊張を和らげることは見込み薄だろうから、緊張の緩和ではないべつの方法を採らないといけない。もちろん明日の本番にはそんな余裕はない。ヤクルト1000を飲むぐらいしか有効な方法がない。
ひとつあった。客席に暖房を入れたからか人の入りによってか場当たりのときよりも暑く、かなり汗がでた。ヒートテックを上下着た状態で舞台に立ったのでそれがでかいと思われる。減らせる気になることは減らしておく。あとは相手のことを見て動く。昨日はそれで緊張がだいぶ落ち着いた。

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