20221103

RRR

「RRR」は、一文字を3回重ねた表現なので、使用文字は一文字。「Rise Roar Revolt」の略字である。

情報社会が進むと略語競争が激しくなることが予想される。たとえば「AAA」というのはIT用語としては次のことを表現する「Authentication(認証)Authorization(認可)Accounting(アカウンティング)」一方で、日本の男女混合パフォーマンスグループ「トリプルエー」の略語でもある。世代にも左右されるのだろうが、日本で有名なのはおそらくトリプルエーのほうだ。では、世界ではどうかといえば、これは前者のプロトコルになるだろう。日本では音楽グループが有名であるように、国によってはAAAというグループだか企業だかがべつに有名かもしれないが。

ただ、もっと有名で確定的な略語もある。たとえば同じIT用語でも「www」、つまり「world wide web」はかなり有名で、べつのグループだかユニットだかが参入する余地がない。正確には、有名すぎるので参入するスペースはかえって広く空いているのだけど、取って代わる可能性はかなり低い。

一文字しか使用しない略語は、複雑さが極限まで削ぎ落とされており、シンプルゆえに強度が高い。もしそこに定着できたなら、最小の情報量で最大のインパクトを与えることができる。

だが当然、そこに参入し、定着するハードルは相当高い。それが平仮名や漢字、キリル文字、ギリシャ文字などのマイナー文字であれば、マイナー度合いに応じてハードルも下がるだろうが、アルファベット・数字などのメジャー文字である場合には、その難易度は跳ね上がる。

「RRR」というインド映画の射程は、英国諜報機関のアイコンであるJBをはるかに超えて、英語にまで達している。「Rise Roar Revolt」が英単語の組み合わせであって文字としてアルファベットを使用しているということは、現代社会に慣れた目からは一見して当然のようにも映るが、注目に値する。

どこまで長大な野心を抱けるか、そしてそれが何に対する革命かということを見逃すべきではない。この映画のスケールが、たんに大英帝国を打倒するということに収まると考えるのであれば、さすがに能天気なまでにお行儀が良すぎるだろう。


2022年11月現在、Googleで「RRR_意味」と検索すると、最初のページに以下が表示される。検索結果は約 4,230,000 件。

⇛RRR(Reserve Replacement Ratio)は、企業の業績を見る上での主要な指標のひとつである。


辞書や検索ツールに表示されるものがすべてではないし、「意味」を付け足したことでアルゴリズムが適した結果を返しただけのことだと思われる。だがしばらくすれば「Rise Rore Revolt」が「RRR」の「意味」として表示されることになっていくかもしれない。

それにしても、Rというただ一文字のアルファベットの連なりが「力強く握り合う手と手」を強烈にイメージさせるのは、映像表現の威容(Majesty)でなくて何だろうか。

PPPという文字列を見て、「Point to Point Protocol」の略語だとその意味を思い起こすのとは、同じ一文字の略語でかたちが似ているのに反して、似ても似つかない。

ブログ移行のお知らせ

当ブログ だから結局 は、Wordpressに高い月額利用料を払い、以下のURLに移行することになった。 だから結局 ぜひブックマークして、日に何度もチェックをお願いしたい。